Base Ball Bear 6th Full Album「C2」ドラムレコーディング全曲解説対談
BaseBall Bear 堀之内大介 × Drum Tech 今村公治

 

Artist

Base Ball Bear

date

2015年5月16日

Song name

「レインメーカー」

Studio

HEATBEAT Studio A

Sound Producer

Base Ball Bear

engineer

Mr.Kawazura

Drum Tach

Koji Imamura

m6_1 m6_2
m6_3

 

Kit

Snare

Kick

Tom

Tom

Floor Tom

CANOPUS NV2 Toms

CANOPUS NV2 6.5"

Ludwig 20×14

10×8

12×8

14×14

& Ludwig 1960's Kick 20"

Corted A

Powerstroke3 Corted

coated A

coated A

coated A

 

withリングミュート5cm &タオル

フェルトビーター

 
 
 

HiHats

Ride

Crash

Carash

Sprash

Sprash

80's Newbeat Hat 14"

Rock Ride 21"

M Crash 18"

Rock Crash 18"

12"

10"

A Zildjian

A Zildjian

A Zildjian

A Zildjian

A Zildjian

n ZHT Zildjian

 





今)
これはですね。デモを聴いた時に「カーディガンズ」だと思いまして。

堀)
僕のサウンドイメージも北欧。スウェディッシュポップです。

今)
同じイメージだったね。 

堀)
スウェーデンのフリーダっていうシンガーがいるんですが、その人のサウンドにも近いイメージでした。

今)
なので、僕的にはバスドラムをなるべく小さなものにして…。

今&)
「なるべく鳴らさない(爆笑)!」

堀)
鳴らさないって何だ?っていう話ですが(笑)!

今)
これまでも色々話してきたけど、ドラムで「ミュート」という言葉があって、それはティッシュやら、ガムテープやらをドラムのヘッド(皮)に付けて音の響きをコントロールする事が王道の1つとしてあり、逆に何もミュートしない「ノーミュート」という手法で音の余韻を伸ばすコントロールをするという方法もあり、ミュートする音の感じを「デッド」と呼び、ミュートとしない感じを「オープン」という言い方をします。

堀)
そう言われるとなんとなく分かると思いますが…今回は「デッド」ですね。

今)
そうです! 僕はこの曲はミュートしまくりで音が止まっているサウンドが良いと思っていて、そもそも、ノーミュートがかっこいいとか、デッドだから良いとかではなく、「その曲に合ったサウンド」であれば、その手法なんてどうでもいいと思っています。
たまに「僕はノーミュートだから!」と自慢する人いるけど、それはチューニング技術を自慢しているだけでしょ?って感じです。

堀)
楽曲に合っている事が全てですよね!その前提でのチューニングですし。

今)
そうそう。ノーミュートが相応しい曲はノーミュートが一番だし、デッドサウンドがベストなら、がっつりミュートすべきと思う。その時、それぞれの手法と技術は高い事に越した事なないですので、常に僕も研究しています。

堀)
そうですよね!

今)
この写真を見ると、スネアはがっつりミュートしたかったので、リングミュートに加えタオルを付けています!

堀)
このタオルを使う手法は60年代からありますよね?

今)あるある!

堀)
ビートルズの時代からそうですし、タオルや布をスネアに全部かぶせてしまう人もいますよね?!

今)
いるいる!「スカーン!」という余韻が一切なくて「タッ!」という音になるよね。

堀)
中にはモノを置いてしまうというのもありますよね!

今)
僕はガムテープを置いてしまう事があります。叩きにくいけど(笑)。

堀)
今回もガムテープ置いてみたんですよね! でも音が止まり過ぎた!

今)
そうだったね!それでタオルに落ち着いたんだったよね!

堀)
ちなみに使ったタオルはうちのバンドのグッズのタオルですけど(笑)!

今)
ちょうどよかったんだよね。タムのティッシュ多めだし・・。

堀)
フロアなんてガムテ敷き詰めてますもんね(笑)!
それにこのキックはラディックの60年代のものですよね。あの当時の本物の。

今)
そうそう。ビートルズ時代のリンゴスターが使っていた年代のものです!
でもタムはカノウプスのNV2にして音色は近いけどキックだけはわざと本物のヴィンテージにしたかったという事ですね。そして、スネアはカノウプスNV2の6.5インチを使いまして、カーディガンズをやるならもっと浅い胴を使うべきかも知れないけど、そこはあえてベボベ感を出す為に深くしたよね。

堀)
実は最初スネアはラディックのアクロライト5インチを使いたい!と言って試させてもらったんですが、ちょっとクリスピー過ぎて…結局、こうなったんです。

今)
モロにしたかったらアクロライトのほうが合っていたかも知れないけどね…。でも結果、良かった!

堀)
アクロライトはアルミ製だから金属シェルの中では痛くないほうだけど、やっぱり金属の「キンッ」ていう音がでちゃって、あたたかみがないなあ…というところでウッドシェルになったんですよね。
もう1つの理由として、ずっとライドで刻むので、金属音がずっと鳴っている中でスネアも金属だとキツイかな…と。そんな理由もありました。

今)
スネアの選択候補を見てみると、第一候補がNV2の5インチ、第2候補がラディック400番、第3候補がスリンガーランドの5インチ、でも結局NV2の6.5になったんだね。

堀)
それがBase Ball Bear感なのかも知れませんね。
この中でNV2だけ現行のスネアですもんね。他は全部ヴィンテージですからね。

今)
面白いね。

堀)
フロアも14インチで小さいです。だからヘッドのエンペラーではなく、アンバサダーなんですね!

今)
そうそう!

堀)
なので、今回の12曲の中では一番サイズが小さいキットという事になるので、バスドラムも「ドーン」と鳴っていませんよね。ビーターもフェルトの小さいやつにしているし。

今)
あえて一番パワーが出ないフェルトビーターを使っていると思います。

堀)
バスドラムの中にミュートも多めに入っていますよね?

今)
入っている!

堀)
これも言っておきたかったのですが、ドラムの音を録る時に、マイクの位置を変えてみるとか、吸音の壁をセットしてみるとか、このスタジオ独特のヨットの帆が装備されていて、それを下ろしてみるとか…そういうふうにして曲によってスタジオの響きを調整している事も大切ですよね。

今)
エンジニアさんの「匠の技」だよね。

堀)
エンジニアさんが僕らのドラムサウンドの方向性を理解してくれて、それに合った響きを作ってくれた事も大きいですね。

今)
そうだよね。だから、「いい音」を作ろうとする時って、ドラマー、ドラムテック、メンバー、エンジニアさんと一致団結しないと作れないよね。その点で言えば、このチームが素晴らしいと思います。

堀)
ホントですよね。

今)
僕らはマイクを立てて録る事は出来ないから、マイクに音を届けるまでは責任持って、マイクに音が入った先はエンジニアさんの領域で…という共同作業だもんね。
そういう点でいうと、今回の生ドラムを色々な音色のドラムで録るというコンセプトで鑑みるとエンジニアの川面さんは凄かった!

堀)
実は川面さんはメインエンジニアでやってもらうのは今回がはじめてでしたが、僕らを10代の頃から知っていて「夕方ジェネレーション」のレコーディングにも関わってくれた人でもありますし。

今)
僕も13年前にフジファブリックのプレデビューCDでご一緒しているから、久しぶりだったけど凄くいい関係でやれたと思っています。

堀)
川面さんは当時の僕らの音や力量も知っていて、あれから10年経った僕らの出す音を楽しんでくれたんだと思います。

今)
互いに別々の道で自身を磨き、10年経って、また一緒に音楽を作るって凄い事だよね!感動する!

堀)
ちょっとシンバルの話になりますが、この曲で使ったハイハットは今村さんの80年代のニュービートハイハットですが、この前、北海道でなにげに新しいジルジャンのニュービートハイハット(現行品)を買ったんです。
ニュービートハイハットってジルジャンシンバルの中ではレジェンド的存在で、リンゴスターがビートルズの時に使って有名になった話がありますよね。その僕が買ったニュービートは現行品であり個体差なのかわかりませんが、今村さんのより少し薄いんです。だから音のニュアンスが結構違う。Zシリーズなんかも作られた年代によってハンマリングの感じなど全然違いましたが、その時代時代でシンバルも進化してるんでしょうね。

今)
僕のニュービートは僕が23歳の頃に買って、割らずに使ってきた自然ヴィンテージだからね(笑)。

堀)
この曲は全てライド刻みと言いましたが、実は、一瞬だけハットを使っているんです。

今)
どこ?

堀)
フィルの入り口がハット発信だったりします。

今)
「チー」とか?

堀)
そうです(笑)。なので新しいハットだと音が立ち過ぎてはまらないから、80年代のハットがちょうど良かった。
他のシンバルもキラキラ系でない、ノーマルなAジルジャンのクラッシュシンバルを使っています。
インチ(大きさ)は同じなのですが、厚さが違う。1つはミディアムクラッシュで、1つはロッククラッシュ。シンバルは厚くなればなるほど音は固く明るくなるので、その部分で使い分けています。
僕の大好きなシンバルで、Aジルジャンの12インチスプラッシュ。
凄く薄くて「パシャ!」っていう音がして凄く好きです。
その中で1枚だけシートシンバルが入っています。

今)
ZHT? 

堀)
そうです。
シンバルにはシートシンバルとキャストシンバルという2種類のものがあって、
その違いを簡単に説明すると、シートシンバルはバームクーヘン、キャストシンバルはクレープです!例えが上手いかどうかはわかりませんが(笑)!

今)
なるほど!

堀)
シートは1つの鉄の塊をシンバルの形に切って作っていくタイプ、キャストは1つの鉄の塊を延ばしてシンバルの形にしてゆくタイプです。

今)
わかりやすい!

堀)
スプラッシュなので、2枚のキャラクターを分けてみたという・・。
1枚はシートでもいいかな・・と。
なので、セットがシンプルでタイトな分、シンバルが多彩で面白い音が出ていると思います!



 		
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